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『シシリアン・ゴースト・ストーリー』あらすじ感想

1993年にイタリアのシチリアで実際に起きた悲惨な誘拐事件を基に、少年と少女の切ない恋を幻想的に紡いだラブストーリー『シシリアン・ゴースト・ストーリー』を鑑賞しました!

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

シチリアの小さな村で、13歳の少年ジュゼッペが突然、姿を消した。彼に思いを寄せていた同級生の少女ルナは、謎だらけの失踪を受け入れられず、村の誰もが従う沈黙の掟に抗ってゆく。
ジュゼッペを探すため、ルナは不思議な湖にある入り口から、彼を飲み込んでしまった闇の世界へと下ってゆく。彼女をこの世界に戻せるのは、二人の不滅の愛だけ _。

映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」公式サイト | ABOUT THE MOVIE |

 

 

夢と現実が入り混じる幻想的なラブストーリーと待ち受ける残酷な現実

 

 

 

シチリアの島の豊かな自然、そこに暮らす少女ルナは同級生のジュゼッペに恋をしていた。

想いを寄せる彼にルナは手紙を渡す。

しかし、ジュゼッペは忽然とルナの前から姿を消した。

ジュゼッペの失踪に無関心な周囲の反応に納得のいかないルナは彼を探すため、シチリアの山に踏み入る_。

 

ジュゼッペを想うルナの強く真っ直ぐな愛がジュゼッペと引き合わせる。

夢と現実が入り混じる幻想的な世界でルナとジュゼッペが触れ合うシーンは涙なしでは見られない。

 

シチリアという島特有の閉鎖感のような暗い雰囲気と美しい自然が生む幻想的な映像と、ひたむきにジュゼッペを想い続けるルナの姿が、待ち受ける現実の残酷性をより一層際立たせている。

 

 

 

 

映画の基になったジュゼッペ事件や舞台背景

 

 

マフィアといえば映画『ゴッド・ファーザー』を思い浮かべる人も多いかもしれない。

イタリア系アメリカ人であるマフィアの栄光と悲劇を描いた作品だ。

今では広域的な意味で使われるマフィアはイタリアのシチリアが発祥の地である。

 

当時のマフィアは政府と密接に繋がっており、その影響は市民生活にも及んでいた。

マフィアによる犯罪行為はもはや日常となり、小学校では身の振り方を教わる程であった。

 

そんなマフィアの存在が生活の一部に溶け込んでいたシチリアでジュゼッペ事件は起きた。

 

ジュゼッペの父親はマフィアの一員であったがファミリーを抜け、マフィアの内情を告発した。

告発行為を辞めさせるため、警官になりすましたマフィアは馬小屋にいたジュゼッペに「父親に会わせる」と騙し連れ去る。

しかし、その後もジュゼッペの父親は告発を続けマフィアによる監禁は779日にも及んだ。

その後ジュゼッペは絞殺され、遺体は硫酸液の中に放り込まれ溶かされた。

 

誘拐の指示役でマフィアの中でも有力者であったジョヴァンニ・ブルスカはその後に爆破テロの実行犯として逮捕され終身刑となっている。

 

劇中で姿を消したジュゼッペに対して無関心な学校の教師や警察。表沙汰にしないようにするジュゼッペの家族、周囲に漂う違和感の理由はマフィアの支配が日常に溶け込む異常な空間にあった。

 

 

 

 

 

感想

 

実話を基にした作品だったので事件が事件なだけに覚悟はしていましたが、心にズシリとのしかかってくるような作品です。鑑賞後すぐに立ち上がることができないほど打ちひしがれました。

 

事件や事故に巻き込まれ、突然命を失われることは現実にも起こりうることです。実際私自身も家族を事故で突然亡くした経験があります。それが不条理であればあるほど堪え難いものです。

今日では報道番組やネットニュースでも度々胸を痛める事件を目にすることがありますが、そこで目にする一被害者の名前。この映画は不条理によって失われたその一被害者の魂に目を向けた作品です。

 

私はこの事件について全く知りませんでしたし、イタリアのシチリアに流れる事件から目を背ける周囲の空気や、マフィア事情についても知りませんでした。

鑑賞後にこの事件について調べ、その残酷な現実を知るほどに胸が締め付けられました。

本作を鑑賞した私はジュゼッペという少年を一生忘れないでしょう。

 

本作で監督を務めたファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァの2人もシチリアに生まれ、この事件を目の当たりにしてからずっと忘れられず頭から離れなかったようです。

 

その想いをルナという少女に投影して、ジュゼッペの魂に寄り添いこの物語を作り出したのだと感じました。これはジュゼッペに捧げる鎮魂歌なのだと。